おすすめ、サイン入り
Concrete Abstraction
限定版/限定600部/サイン&ナンバー入
最近、自分の写真について質問される機会が増えてきた。
なぜ「風景」なのかという根源的な問いには、先ずは野外で仕事をすること、あるいは旅行そのものへの興味、そして誰にも邪魔されずゆっくりと仕事ができる最適の場所だから、というようなのんきな答えしか浮かんでこない。
ではなぜ「インフラストラクチャー」なのか、という本質的な質問にも、それがどこにでもあり、いつでも向かい合う事ことができて、一方的な解釈が可能な寡黙な対象だから、などとつい言ってしまう。
「写真」を始めた頃は、真剣に考えたはずだ。
自分の作品のオリジナリティーについて、(人の営みを表現するための)なるべく間接的な表現、自分の住む国のことについて、など。ふと想いをめぐらすと、そんな30年以上の前の自分は、いまだすぐ背後にいる。
-柴田敏雄『Concrete Abstraction』あとがきより抜粋
- 判型
- 21.9 x 28.2 x 1.7 cm
- 頁数
- 112頁
- 掲載写真
- 88点
- 製本
- ハードカバー、クロス装
- 発行年
- 2015
- 出版社
- Akio Nagasawa Publishing
柴田敏雄
Toshio SHIBATA
1949年東京生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科絵画専門課程油画専攻(修士課程)修了。75年にベルギー文部省より奨学金をうけ、ゲント市王立アカデミー写真科入学。80年頃より写真を始める。
大型カメラを使用して撮影された写真は、精密で緊張感のある画面構成を特徴とし、人工物と有機物が織りなす造形美がピクチャレスクに描き出されています。自然の中に人工物が入り込んだ不可思議な風景をダイナミックに捉えた作品は、社会的・政治的側面を反映しつつも、文明の発達とともに変わりゆく時代の風景を独自の造形的感覚で捉えたものとなっています。
シカゴ美術館での「Toshio Shibata」展をはじめ、東京都写真美術館「ランドスケープ」展、国立新美術館『与えられた形象 辰野登恵子/柴田敏雄』など、国内外で多数個展を開催。92年第17回木村伊兵衛賞受賞、09年日本写真協会賞作家賞、第25回東川賞国内作家賞受賞。主な写真集に『LANDSCAPE』(96)、『DAM』(04)、『a View』『For Grey』(09)、『Concrete Abstraction』(15)など。