サイン入り
Meta Meta
限定版/限定350部/サイン&ナンバー入/キャンバスにシルクスクリーン刷表紙
ぼくの仕事場の、ロッカーのいちばん下の箱の中から、ぼく自身もうすっかり忘れ去っていた数十枚ものポラロイド写真が先日見つかった。数年まえに依頼されて撮影したあと、もうご用済みとしてとり残されたイメージの数々が、突如陽光に晒されることになった。それらは、淡いセピア色の、さだかならぬグラデーションのままに、エタイのしれないイメージの断片と化して見るぼくを茫然とさせた。すでにハンパない時の経過によって退化と退化を重ね、どこかイメージの廃墟と化した「時」の痕跡は、かつてそれを写したぼくとも遊離して、すでに次元を越えたサムシングとなり変っていた。つまりそのものたちは、ぼくに向けて、作為なき時のディテールを知れ、そして見よ、と言っているのだと思った。それは全ての人々に在る計り知れない時、空への「網膜の記憶」の在りようのことなのかもしれない。
-森山大道あとがきより
- 判型
- 215 x 264 mm
- 頁数
- 92
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2022.7
- 出版社
- Akio Nagasawa Publishing
森山大道
Daido MORIYAMA
1938年大阪生まれ。写真家・岩宮武二、細江英公のアシスタントを経て1964年に独立。写真雑誌などで作品を発表し続け、1967年「にっぽん劇場」で日本写真批評家協会新人賞受賞。1968-70年には写真同人誌『プロヴォーク』に参加、ハイコントラストや粗粒子画面の作風は“アレ・ブレ・ボケ”と形容され、写真界に衝撃を与える。
ニューヨーク・メトロポリタン美術館やパリ・カルティエ現代美術財団で個展を開催するなど世界的評価も高く、2012年にはニューヨークの国際写真センター(ICP)が主催する第28回インフィニティ賞生涯功績部門を日本人として初受賞。2012年、ウィリアム・クラインとの二人展「William Klein + Daido Moriyama」がロンドンのテート・モダンで開催され、2人の競演は世界を席巻した。2016年、パリ・カルティエ現代美術財団にて2度目の個展「DAIDO TOKYO」展を開催。2018年、フランス政府より芸術文化勲章「シュヴァリエ」が授与された。2019年、ハッセルブラッド財団国際写真賞受賞。
2021年、パリのMEP(ヨーロッパ写真美術館)にて東松照明との二人展「Tokyo: 森山大道+東松照明」を開催。2022年、アムステルダムやローマ、サンパウロ、北京で個展を開催するなど、現在も精力的に活動を行っている。