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関東風譚
限定版/限定600部/落款&ナンバー入
1983年、6回にわたり「アサヒカメラ」に連載された「関東風譚」シリーズ全作品を連載順に収録した写真集。
連載当時、須田は各回に当時流行していた歌謡曲の曲名をサブタイトルとして付けていました。本書でもそれを採用し、須田が構想したシリーズ全体の姿を1冊に纏めています。
豊かになってしまったことで失くしてしまったモノ、街に暮らしつづけたことで忘れてしまったモノがある。見えなくなってしまった星に代わって夜空をうずめたネオン星は、手まねきする誘蛾灯のように怪しくきらめき、ビルの谷間に立って黒々と連なるコンクリートの峰々を仰ぎ見れば、なぜか崇高にさえ思えてくる。
繁華街のど真ん中でハイサワーを飲みながら口から火花を吹き、虚ろになったところで心の痛みを忘れさせ、マドンナを夢見る私はチョットため息まじりの東京チカチカ症候群。明日もまた笑ってしまおう、寂しいからでも楽しいからでもないけれど。「東京ってイイ街だナー」なんてつぶやきながら。
でもそんなとき、いつもどこかで風が吹いていて、それがやがて私の頭の中でも─。
-須田一政、『アサヒカメラ』1983年5月号より
- 判型
- 207 x 216 mm
- 頁数
- 120頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2022.4
- 出版社
- Akio Nagasawa Publishing
須田一政
Issei SUDA
1940年東京都生まれ。62年に東京綜合写真専門学校を卒業。67年より寺山修司が主宰する演劇実験室「天井桟敷」の専属カメラマンとなる。71年よりフリーランスの写真家として活動を開始。76年、『風姿花伝』にて日本写真協会新人賞を受賞し、一躍注目を浴びる。
その後、83年に写真展「物草拾遺」等により日本写真協会年度賞を受賞。85年に写真展「日常の断片」等により第1回東川賞国内作家賞を、97年に写真集『人間の記憶』により第16回土門拳賞など受賞多数。2013年には東京都写真美術館にて大規模な回顧展「凪の片」が開催された。
現実と非現実の間に漂う一瞬を捉えたその作品は近年とみに海外での評価も高い。
主な作品集に『風姿花伝』(78)、『わが東京100』(79)、『紅い花』(2000)、『私家版・無名の男女』(2013)他。Akio Nagasawa Publishingより『風姿花伝(完全版)』(2012)、『一九七五 三浦三崎』(2012)、『Early Works 1970-1975』(2013)、『Childhood Days』(2015)、『Rei』(2015)、『GANKOTOSHI』(2019)、『NEW LIFE』(2020)、『無名の男女(東京1976-78年)』(2021)、『関東風譚』(2022)、『物草拾遺』(2013)など多数。