AOYAMA

Unconscious | Berlin

小島康敬

2019年9月5日(木) - 10月5日(土)
オープニング・レセプション|9月5日(木)18:30-20:00(作家在廊)
開廊時間|木〜土 11:00–13:00, 14:00–19:00
休廊日|日〜水・祝日

この度、Akio Nagasawa Gallery Aoyamaは、⼩島康敬の個展を開催致します。
⼩島康敬は1977年に東京で⽣まれ、現在はベルリンを拠点に写真家として活動をしています。⼩島はこれまで東京・ニューヨーク・ベルリンと、いずれも都市を被写体に独⾃の視点で撮影を続けてきました。本展では、現在拠点とするベルリンで撮影された作品を展覧致します。この機会に是⾮ご⾼覧ください。

《同時開催》
個展「Unconscious | New York, Tokyo」
会場:ユカ・ツルノ・ギャラリー
会期:2019年9月7日–2019年10月5日
http://yukatsuruno.com/exhibitions/pr079_yasutaka_kojima

TOPコレクション イメージを読む「写真の時間」
会場:東京都写真美術館
会期:2019年8月10日–11月4日(月・振休)
http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3439.html

 

- 本展に寄せて:
「空虚な記号としてのベルリン」 結城円(写真研究家)

「⽇本の記号は空虚である。」 ロラン・バルト 『記号の国』 (1970)

「ベルリン」と聞いて何を想起するだろうか。ナチス第三帝国の記憶、あるいは東西ドイツ分断と再統一の歴史であろうか。実際、ベルリンという都市は、その歴史的な様々な記憶を顕在化させ、可視化させたまま存在している。至る所で、歴史の痕跡を視覚的に捉えることができる。しかし、小島が提示するベルリンは、そんな歴史や記憶からは乖離した場所であるように思う。ベルリンであって、ベルリンではないどこか。時空間を通り抜けた、どこでもない場所が写されているような印象さえ受ける。なぜなのか。
小島はこれまで東京、ニューヨーク、ベルリンの3都市を撮影してきた。東京とニューヨークは、混沌とした大都市を俯瞰することで、その構造を捉え、都市同士を比較しているような視点が見られる。そこには場所を判断できる情報が、ごくわずかではあるが、断片的に映り込んでいる。それに対し、ベルリンシリーズは、目線の高さで捉えられた、平面的でミニマルな画面構成である。そこでは、ベルリンを指し示す要素は皆無であると言っても過言ではない。撮されているものは、一見分かりやすくシンプルであるのに、特定のものを表象しているわけではない。その点で、とても写真的であると言える。撮影したその瞬間の、いつかのどこかが示され、それが何なのか読み解く作業を鑑賞者に求める。
写真的であると同時に、小島の作品はとても日本的である。こう言うと、「ベルリンを写しているのになぜ」と思われるかもしれない。ロラン・バルトは日本を空虚な記号の国だと表した。西欧的な意味を求める記号体系と比較し、日本ではあらゆるものの中心が空虚で、真の意味の不在をほのめかしているのだという。故郷の東京でも、7年間滞在したニューヨークでもなく、ベルリンでこのような日本的な記号構成にたどり着いたのは偶然ではないだろう。日本とは全く異なった文化圏で、特に意味内容を問われ続ける環境にいるからこその結果ではないか。だからこそ、日本で長い時間をかけて無意識的に身につけた、多様な意味を読み解ける、何かを明確に指し示すのではない、多くの部分を鑑賞者へとゆだねた視点が可能になったのだろう。そこには、「それは=かつて=あった」一瞬が切り取られているだけの、空虚な記号があるだけなのだ。

アーティスト

1977年東京生まれ。2006年に渡米。2007年 ICP General Studies Program卒業。ICP在学中、ICP Director's Scholarship Awardを受賞。2011年度文化庁新進芸術家海外研修制度、研修員(研修地NY)。2015年渡独。Kunstlerhaus Bethanien(Berlin)のInternational Artist in Residency Programに一年間参加。2016年、日本の新進作家展vol.13(東京都写真美術館)に選出。現在ベルリンを拠点に作品を制作している。

出版物

NEW YORK

$26.61
Sold Out