ウインク
開廊時間|木〜土 11:00–13:00, 14:00–19:00
休廊日|日〜水・祝日
「ウィンク」という言葉には、まばたきをする行為の他に、何かを示唆する、暗示すること、そして情報やアイデアを与えるための小さな手がかりという「ヒント」の意味があります。画家は絵を制作する過程で、その作品に向かってウィンクをすることがありますが、これは単眼で視覚を駆使し、立体的なキャンバスを平面的に見ることで、構図やプロポーション、色彩のバランスの崩れを見つけ出す行為です。ウィンクをすることで、一時的に作品から離れ、客観的な視点で問題点や改善すべき点を発見し、試行錯誤を繰り返して表現を追求します。
複雑な現代社会は全体像の把握が難しく、極端な意見や価値観の対立が分断を深め、ポラリゼーションが進み、時に深刻な問題を引き起こしています。画家が制作過程で片目を閉じるように、私たちも社会の問題を客観的に見て、幾度もやり直しながらバランスをとり、より良い社会へ向かってほしい。「ウィンク」というタイトルには、そのような希望が含まれています。
今回の新作絵画は垂直に左右で分かれた画面構成となっています。片方の画面では筆致が目立ち、掠れや塗り残しが見られ、キャンバスの素材感や物質性が強調されています。これにより、鑑賞者に創造性や参加の余地を与えています。もう一方の画面では、ここ数年小村が取り組んできた手法「サブトラクト Subtract(取り去る、差し引くこと)」を用い、筆致が取り除かれ、静けさの美を引き立てています。2021年に発表した水平に上下で異なる画面を描いた『地平線 Horizon』展と呼応したシリーズととらえることができます。これらは画面の対比が強調されていますが、同時にバランスが存在しており、小村の一貫した問題意識と希望の兆しが込められています。
アーティスト
小村希史
Marefumi KOMURA
1977年生まれ。東京を拠点に活動を行う。
主な個展:
2021年「地平線」AKIO NAGASAWA GALLERY、東京、日本
2019年「ダイヤモンド」AKIO NAGASAWA GALLERY、東京、日本
2018年「大きな船 / Big Ship」The Mass、東京、日本
2017年「銀座 / ギンザ / GINZA」森岡書店、東京、日本
2013年「Felt Like Painting」Felt、東京、日本
2013年「私たちのような小さな絵」Megumi Ogita Gallery、東京、日本
2012年「新作絵画2012」Megumi Ogita Gallery、東京、日本
2011年「Fragment」Megumi Ogita Gallery、東京、日本
2009年「Feeble」上海、中国
2008年「Painting and Drawing」TCPギャラリー、東京、日本
2008年「Faultiness」frantic、東京、日本
2007年「Untitled」Wall of Sound、シアトル、アメリカ
主なグループ展:
2016年「Flower Huddle」The Mass、東京、日本
2014年「3331 Art Fair - Various Collectors’ Prizes」アーツ千代田3331、東京、日本
2014年「Art Stage Singapore」シンガポール
2013年「アートがあればII ─ 9人のコレクターによる個人コレクションの場合」東京オペラシティアートギャラリー、東京、日本
2013年「Symbiosis」Aki Gallery、台北、台湾
2012年「XYZ」Megumi Ogita Gallery、東京、日本
2006年「NADA - New Art Dealers Alliance Art Fair Miami 2006」マイアミ、アメリカ
2006年「Geisai#10」東京
出版物
地平線 Horizon
Akio Nagasawa Gallery Aoyamaで開催された個展、小村希史「地平線 Horizon」(2021年3月)にあわせ作成された、ドローイング作品を収録した作品集。
紙に絵(特装版)
ドローイング作品集『紙に絵』(ハードカバー版、サイン&ナンバー入)に、『紙にグラファイト』とオリジナルプリント(サイン入)をスペシャルボックスにセットした特装版。
※プリントのイメージは一冊ずつ異なります。イメージをお選び頂くことはできませんので、ご了承ください。