サイン入り
Actor シミズイサム
限定版/限定600部/サイン&ナンバー入
シミズイサムさんとの初対面は、新橋の、キャバレーのショー・ウィンドウのなかにピンナップされた、出演中だったシミズイサムさんのブロマイドをぼくがみつけたときであった。もう50年も前のことである。
その当時、ぼくは新聞社から発行されていた「カメラ毎日」という写真雑誌で、担当編集者から"芸人シリーズ"などと呼ばれていた不定期連載をつづけていた。たとえば、浅草<木馬館>の芸人さんたちや、演歌の北島三郎さんの地方公演、そして東映やくざ映画の撮影所、などと撮り次いでいた頃で、さて次は、などど丁度考えていたタイミングで、その一枚の、とても心を惹かれる笑顔のシミズさんのブロマイドと出会ってしまったのだ。その出会いは決定的で、その場でぼくは、あ、オレはこの人を写すぞ、と決めてしまった。
ぼくは今もときおり、シミズさんとご一緒だった撮影の時を懐かしく思い返すことがある。
そんなとき、50年という時空はすっかりと遠のいて、充分に若かったあの頃の二人と、いつしか対話を交している自分がいる。
-森山大道
- 判型
- 233 x 286mm
- 製本
- ハードカバー、クロス装、ケース入り
- 出版年
- 2015
- 出版社
- Akio Nagasawa Publishing
森山大道
Daido MORIYAMA
1938年大阪生まれ。写真家・岩宮武二、細江英公のアシスタントを経て1964年に独立。写真雑誌などで作品を発表し続け、1967年「にっぽん劇場」で日本写真批評家協会新人賞受賞。1968-70年には写真同人誌『プロヴォーク』に参加、ハイコントラストや粗粒子画面の作風は“アレ・ブレ・ボケ”と形容され、写真界に衝撃を与える。
ニューヨーク・メトロポリタン美術館やパリ・カルティエ現代美術財団で個展を開催するなど世界的評価も高く、2012年にはニューヨークの国際写真センター(ICP)が主催する第28回インフィニティ賞生涯功績部門を日本人として初受賞。2012年、ウィリアム・クラインとの二人展「William Klein + Daido Moriyama」がロンドンのテート・モダンで開催され、2人の競演は世界を席巻した。2016年、パリ・カルティエ現代美術財団にて2度目の個展「DAIDO TOKYO」展を開催。2018年、フランス政府より芸術文化勲章「シュヴァリエ」が授与された。2019年、ハッセルブラッド財団国際写真賞受賞。
2021年、パリのMEP(ヨーロッパ写真美術館)にて東松照明との二人展「Tokyo: 森山大道+東松照明」を開催。2022年、アムステルダムやローマ、サンパウロ、北京で個展を開催するなど、現在も精力的に活動を行っている。