サイン入り
無言劇
限定版/限定600部/サイン&ナンバー入/キャンバスにシルクスクリーン刷表紙
ムカシムカシの話である。ヤツらは、人の親指ほどの沢山の小さなビンの中の液に浸ってそれぞれ眠っていた。それぞれがカキの皮膚をしてその形はほとんどエビだった。
神奈川県の、丹沢山系にほど近い町の産婦人科病院の、暗い廊下に立ち並んだ標本棚の片隅で、ガラスケースの棚に、フォルマリン液に漬けられた無数の胎児たちが皆ひっそりと肩を寄せ合って陽の当る中庭を眺めていた。
-森山大道 あとがきより
この『無言劇』は、森山大道がフリーランスの写真家として初めて制作した処女作です。
本書はこれまで写真集未掲載のカットを中心に編集され、同シリーズをまとまった形で紹介する初の写真集となります。
- 判型
- 297 x 210mm
- 頁数
- B/W 62頁
- 製本
- ソフトカバー/観音開き
- 発行年
- 2017年
- 出版社
- Akio Nagasawa Publishing
森山大道
Daido MORIYAMA
1938年大阪生まれ。写真家・岩宮武二、細江英公のアシスタントを経て1964年に独立。写真雑誌などで作品を発表し続け、1967年「にっぽん劇場」で日本写真批評家協会新人賞受賞。1968-70年には写真同人誌『プロヴォーク』に参加、ハイコントラストや粗粒子画面の作風は“アレ・ブレ・ボケ”と形容され、写真界に衝撃を与える。
ニューヨーク・メトロポリタン美術館やパリ・カルティエ現代美術財団で個展を開催するなど世界的評価も高く、2012年にはニューヨークの国際写真センター(ICP)が主催する第28回インフィニティ賞生涯功績部門を日本人として初受賞。2012年、ウィリアム・クラインとの二人展「William Klein + Daido Moriyama」がロンドンのテート・モダンで開催され、2人の競演は世界を席巻した。2016年、パリ・カルティエ現代美術財団にて2度目の個展「DAIDO TOKYO」展を開催。2018年、フランス政府より芸術文化勲章「シュヴァリエ」が授与された。2019年、ハッセルブラッド財団国際写真賞受賞。
2021年、パリのMEP(ヨーロッパ写真美術館)にて東松照明との二人展「Tokyo: 森山大道+東松照明」を開催。2022年、アムステルダムやローマ、サンパウロ、北京で個展を開催するなど、現在も精力的に活動を行っている。