サイン入り
記録21号
サイン入
昨年11月、2年ぶりにニューヨークへ行った。マンハッタンのギャラリー街チェルシーに在る写真出版社「APERTURE」のライブラリーとカフェコーナーの付いた広いギャラリースペースで、約100点のぼくの写真プリントを材料にして"TKY"というタイトルの手製写真帖を公開製作して多くの予約者に直接手渡すというイベントのためだった。会場には沢山のニューヨーカーたちが詰めかけてくれ、ニューヨークのぼくの友人ジェラード・マランガやラリー・クラークも顔を見せてくれた。
そんな、忙しくも愉しい2日間を過ごしたあと、久しぶりにコニーアイランドへ遊びに出掛け、すこぶるカラフルでアメリカンな午後を満喫した。
しかし、なんと言っても一番のときめきは巨大ビルボードのジャングルとでもいうべきか、夕刻のタイムズ・スクエアの、めくるめく光芒のド真ん中に身を包まれた一瞬であり、アドレナリンを感覚する、もっともセクシーな時間である。
今年の5月にはまたニューヨークへ出掛けるので、虫のように光を求めて、うっとりとしてこようと思う。
-森山大道 あとがきより
- 判型
- 278 x 220 mm
- 頁数
- 72頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2012
- 出版社
- Akio Nagasawa Publishing
森山大道
Daido MORIYAMA
1938年大阪生まれ。写真家・岩宮武二、細江英公のアシスタントを経て1964年に独立。写真雑誌などで作品を発表し続け、1967年「にっぽん劇場」で日本写真批評家協会新人賞受賞。1968-70年には写真同人誌『プロヴォーク』に参加、ハイコントラストや粗粒子画面の作風は“アレ・ブレ・ボケ”と形容され、写真界に衝撃を与える。
ニューヨーク・メトロポリタン美術館やパリ・カルティエ現代美術財団で個展を開催するなど世界的評価も高く、2012年にはニューヨークの国際写真センター(ICP)が主催する第28回インフィニティ賞生涯功績部門を日本人として初受賞。2012年、ウィリアム・クラインとの二人展「William Klein + Daido Moriyama」がロンドンのテート・モダンで開催され、2人の競演は世界を席巻した。2016年、パリ・カルティエ現代美術財団にて2度目の個展「DAIDO TOKYO」展を開催。2018年、フランス政府より芸術文化勲章「シュヴァリエ」が授与された。2019年、ハッセルブラッド財団国際写真賞受賞。
2021年、パリのMEP(ヨーロッパ写真美術館)にて東松照明との二人展「Tokyo: 森山大道+東松照明」を開催。2022年、アムステルダムやローマ、サンパウロ、北京で個展を開催するなど、現在も精力的に活動を行っている。