サイン入り
記録43号
サイン入
「記録」本号の前半ページは、スウェーデン㐧2の都市イェーテボリで写したものである。昨秋、当地のハッセルブラッド財団から賞をいただき、その授賞式に出掛けた折にスナップした写真である。イェーテボリは海峡に面した港町で、過去と現在の調和が程よくとれていて、さり気なく文化・芸術の香りが漂う良い町であった。
「記録」についてはこれまで何度か触れてきたが、号が増すにつれて、この写真誌の存在感がぼくの内部で大きくなってくる。いまのおまえを写せ、いまのおまえを見せろ、と、日々ぼくの内心に突きつけてくるのだ。カメラマンであれば当然のこととは思うが、ぼくがどんな時にも、いかなる折にもカメラを手離せないのは、決して強迫観念ということではなくて、結局「記録」という名の、決してぼくの側をはなれることのない盟友の存在があるからに他ならない。ほら、見ろと言う、撮れと言う彼からの声が、ぼくの耳に絶えず聞こえてくるからだ。
-森山大道 あとがきより
- 判型
- 280 x 210 mm
- 製本
- ソフトカバー
- 頁数
- 126 頁
- 発行年
- 2020.1
- 出版社
- Akio Nagasawa Publishing
森山大道
Daido MORIYAMA
1938年大阪生まれ。写真家・岩宮武二、細江英公のアシスタントを経て1964年に独立。写真雑誌などで作品を発表し続け、1967年「にっぽん劇場」で日本写真批評家協会新人賞受賞。1968-70年には写真同人誌『プロヴォーク』に参加、ハイコントラストや粗粒子画面の作風は“アレ・ブレ・ボケ”と形容され、写真界に衝撃を与える。
ニューヨーク・メトロポリタン美術館やパリ・カルティエ現代美術財団で個展を開催するなど世界的評価も高く、2012年にはニューヨークの国際写真センター(ICP)が主催する第28回インフィニティ賞生涯功績部門を日本人として初受賞。2012年、ウィリアム・クラインとの二人展「William Klein + Daido Moriyama」がロンドンのテート・モダンで開催され、2人の競演は世界を席巻した。2016年、パリ・カルティエ現代美術財団にて2度目の個展「DAIDO TOKYO」展を開催。2018年、フランス政府より芸術文化勲章「シュヴァリエ」が授与された。2019年、ハッセルブラッド財団国際写真賞受賞。
2021年、パリのMEP(ヨーロッパ写真美術館)にて東松照明との二人展「Tokyo: 森山大道+東松照明」を開催。2022年、アムステルダムやローマ、サンパウロ、北京で個展を開催するなど、現在も精力的に活動を行っている。